ドラム式洗濯機の乾燥が終わらない!掃除しても直らない「生乾き」の意外な正体とは?

「最近、洗濯機の乾燥に時間がかかるようになった」
「乾燥が終わった合図が鳴ったのに、開けてみたら衣類が湿っている」
毎日使うドラム式洗濯機で、こんなお悩みはありませんか?
実は、乾燥トラブルの原因は大きく分けて「風の通り道が塞がっている(汚れ)」か、「そもそも温まっていない(故障)」かの2つに分類されます。
今回は、修理のプロの視点から、そのメカニズムと原因を詳しく解説します。
そもそも「ヒートポンプ」とは?
一言で言うと、エアコンと同じ仕組みの「熱の運び屋さん」です。
昔の乾燥機(ヒーター式)は、ドライヤーのように電気の力で直接熱を作っていたため、高温になりやすく電気代もかかりました。
一方、ヒートポンプは、空気中にある熱をかき集めて移動させる技術です。少ない電力で効率よく熱を作れるため、「電気代が安く、衣類に優しい(60℃前後の温風)」という特徴があります。
洗濯機の中では、湿った空気から水分を取り除く「除湿機」のような役割を果たしながら、乾いた温かい風を送り出し続けています。

1. なぜ乾燥時間が延びるの?基本は「風邪をひいたマスク状態」
まず、最も多い原因である「ヒートポンプユニットの汚れ」についてです。
ヒートポンプ式乾燥は、湿った空気を「熱交換器(フィン)」という無数の金属板の間を通すことで除湿・加熱します。長年使っていると、ここに細かいホコリや洗剤カスがヘドロのように付着します。

汚れが溜まると起きること
- 風量が落ちる: マスクをして全力疾走しているような状態になり、風が衣類まで届きません。
- センサーの誤認: 風が通らないため、ユニット内部の温度だけが異常に高くなります。洗濯機は「これ以上温度が上がると危険」と判断し、ヒートポンプのパワーを弱めたり、停止させたりします。
その結果、「いつまで経っても乾かないので、洗濯機が時間を延長し続ける(乾燥時間が長い)」という現象が起きます。

2. 掃除しても直らない?「風はあるのに乾かない」恐怖
「業者に頼んで分解洗浄をした」あるいは「自分で手の届く範囲を完璧に掃除した」。 それなのに、乾燥しない。
この場合に疑われるのが、「ヒートポンプ自体の故障(冷媒ガス抜け・コンプレッサー故障)」です。
エアコンの「ガス欠」と同じ
ヒートポンプは、エアコンと同じ仕組みで熱を作っています。もし内部の「冷媒ガス」が抜けてしまうと、いくら機械が動いても「冷たい風」しか出ません。
- 症状: 風はビュービュー出ているのに、衣類が全く温かくない。
これは掃除では直りません。部品交換(ヒートポンプユニットごとの交換)が必要です。
3. 【重要】なぜ「時間は短くなったのに、生乾き」で終わるのか?
ここが今回一番お伝えしたいポイントです。
お客様から「掃除をしたら、乾燥時間は短くなった(表示通り終わった)。
でも、衣類はビショビショのまま」という不思議な相談を受けることがあります。
「時間が短くなったなら、直ったのでは?」と思いがちですが、実はこれ、「洗濯機のセンサーが騙されている(または諦めた)」状態なのです。
原因は「温度の入り口と出口」のパラドックス
洗濯機は、乾燥終了を以下のような温度差で判断しています。
- 入り口センサー: 温風が入る温度
- 出口センサー: 衣類を通って出てきた温度
通常は、衣類が乾くと「気化熱(蒸発)」が起きなくなるため、出口の温度が上がります。「出口の温度が上がった=乾いた」と判断して終了します。
ガス抜け(故障)時のセンサーの誤解
もし、ガス抜けで「熱」が出ていない状態で運転するとどうなるでしょうか?
- 風は通るようになった: 掃除をしたので、風通しは良くなりました。
- でも、熱がない: ヒートポンプから出るのは常温の風です。
- 温度差が生まれない: 「入り口」も「出口」も、ずっと常温のままです。
この時、最近の賢い洗濯機のAI(制御プログラム)は、機種によって以下の2つの反応を示します。
- パターンA(異常検知で停止): 「ヒーターをONにしているはずなのに、温度が全く上がらない。故障だ!」と判断し、エラーを出して止まる。
- パターンB(誤判定で終了): ここが厄介なケースです。
- 温度が上がらないため、プログラム上の特定の条件(温度変化の少なさなど)を、「乾燥工程が不要なほど衣類が少ない」あるいは「もう乾いている」と誤って判定してしまうことがあります。 また、一定時間温度変化がないため、安全制御として「タイムアウト(強制終了)」させている場合もあります。
これが、「掃除をして風通しは良くなったから時間は短縮された(ように見える)。しかし、熱がないので実は乾いていない」という現象の正体です。

まとめ:あなたの洗濯機はどっち?
まとめ:乾燥トラブル解決のための2ステップ
乾燥機能の調子が悪いと感じたら、いきなり高額な修理交換を検討する前に、以下の順序で対処することをお勧めします。
Step 1:クリーニング業者による「ヒートポンプの分解清掃」 まずは「汚れ」を疑ってください。 乾燥トラブルの多くは、長年の使用でヒートポンプ内部に溜まったホコリやヘドロが原因です。
まずは分解清掃(クリーニング)を依頼し、風の通り道を徹底的にきれいにすることで、乾燥機能が新品同様に復活するケースが多々あります。
Step 2:修理業者による「ヒートポンプの交換修理」 Step 1の清掃を行っても症状が改善しない場合、あるいは清掃直後は良かったがすぐに乾かなくなった場合。
これは「汚れ」ではなく、機械そのものの寿命や故障(ガス抜け・コンプレッサー不良など)と考えられます。
この段階で初めてメーカーや修理業者に依頼し、ヒートポンプユニットごとの「部品交換」を行ってください。
まずは「清掃」で直る可能性にかけ、それでも解決しない重度な不具合の場合に「修理」へ進むのが、最も無駄のない解決ルートです。

